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代表挨拶
近年、少子高齢化や人口減少に伴い、国内市場は縮小傾向にあり、多くの企業が市場の停滞や衰退に直面しています。一方、世界に目を向けると、特にアジア・中東・アフリカなどの新興国は著しい経済成長を遂げており、世界人口の約4分の1を占めるイスラム圏市場はその中心にあります。イスラム圏諸国では中間所得層の増加が進んでおり、ハラール製品・サービスへの需要が急速に拡大しています。
また、国内においては2025年の大阪・関西万博の開催が控えており、イスラム圏の訪日観光客(ムスリム)によるインバウンド需要の増加が期待されています。しかし、その一方で、観光インフラや対応策は未整備な部分が多く、ハラール認証対応の遅れが指摘されています。
ハラール市場の可能性と事業展開
ハラールとは、アラビア語で「合法的なもの」「許されたもの」を意味し、ムスリムにとっては製品やサービスがハラールであることが生活の中で不可欠な要素となっています。ハラール認証を取得することで、国内外のムスリムから信頼される製品・サービスを提供し、広大な市場への参入が可能となります。
特に、以下の2つの側面でハラール対応の重要性が高まっています。
1. 国内インバウンド対策としてのインフラ整備
日本は、訪日ムスリム観光客の増加に対応し、ハラール認証済みの飲食・宿泊施設、祈祷スペースの設置、観光案内所でのムスリム向けサポートなど、インフラ整備を急ぐ必要があります。これにより、ムスリム観光客にとって日本は「訪れやすい国」となり、リピーターの増加が期待できます。地方自治体においても、観光振興策の一つとしてハラール対応を導入することで、地域経済の活性化に繋げることが可能です。
2. 海外展開と輸出貿易の拡大
日本製品は「高品質」「安心・安全」といったブランドイメージが世界的に確立されています。ハラール認証を取得することで、食品、化粧品、医薬品、生活雑貨など幅広い分野での輸出拡大が可能となり、日本製品の新たな販路として大きな外貨獲得が見込まれます。特に、イスラム市場を中心に、ASEAN諸国、中東、アフリカ地域への進出が現実的かつ有望なビジネスチャンスとして注目されています。
中小企業と自治体への支援策
現状では、ハラール認証の取得や市場調査に対する情報不足から、対応に踏み出せない中小企業が少なくありません。しかし、政府や地方自治体、支援機関と連携し、次のような取り組みを進めることで、ハラール市場への参入が加速します。
- ハラール認証取得支援:専門機関との連携による認証取得サポート
- 市場調査・マーケティング支援:ハラール市場向けの販促戦略・現地市場調査
- インフラ整備と観光振興策:訪日ムスリム観光客向け施設の整備と地域プロモーション
これらの施策を進めることで、日本の中小企業がハラール市場への参入を果たし、日本製品・サービスが新たな外貨獲得ビジネスとして発展する可能性は大いに広がります。
結びに
本報告書が、ハラール市場への取り組みを検討している中小企業や地方自治体、関係者の皆様の一助となれば幸いです。日本の優れた技術と品質を活かし、ハラール認証を通じて世界市場での競争力を高めることが、地域経済の発展や国際的なビジネス展開に繋がると確信しております。
一般社団法人ジャパングローバルハラル推進機構(JGH)
代表理事 吉永 健路